建築随想

戸田英二 建築家

2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

過去を物語る姿形

伊勢神宮には式年遷宮という制度があります。20年に一度、本殿をはじめとする社殿を新しいものに建替えるというもので、天武天皇が制定(685年)し、690年に第1回がおこなわれたといわれています。以来1300年に渡って引き継がれ、今年の10月に第62回の式年遷…

籾の倉

伊勢神宮の本殿は、切妻屋根の両端に独立した柱(棟持柱)が立っている高床式の建物で、神明造と呼ばれています。この形式は、古く弥生時代の農村集落の象徴的な存在であった初穂を収める籾倉(もみぐら)に由来する*01といわれています。籾倉に納めた種は…

神話を体現する建築

原始・未開の社会から、国家とか文明とかとよばれるような広域的な社会が形成されてくると、共同体をこえた、より大きな社会に共有される精神世界の構築が求められました。それが「神話」だった*01、と川添登さんは指摘します。「神話世界の構築こそが国家…

多元的な文化構造

世界樹としてよく知られているのは北欧神話に出てくるユグドラシルでしょうか。「巫女の予言」*01の中に登場する、九つの世界、九つの根を地の下に張りめぐらした世界樹。この天に聳える梣(とねりこ)の大樹は、全世界の上に枝を広げている唯一絶対の単独…